「新しいディスタゴンT*2.8/21ZF」
ツアイスが一眼レフ用の超広角レンズに、21mmという焦点距離を与えたのはそれほど古いことではなく。1993年に一眼レフコンタックス用としてはじめて登場している。21mmという焦点距離はベルテレ博士設計の名レンズ、ビオゴンT*4.5/21の呪縛が強いためか、長い間ディスタゴンの系列には存在しなかった焦点距離である。カールツアイスの広角系列はディスタゴンT*4/18からディスタゴンT*2.8/25へと一挙に飛んでしまっていたのである。しかし1993年発売のディスタゴンT*2.8/21はその間を埋めるとともに、ツアイスの名に背かない高性能で他社の同スペックレンズ群を圧倒してしまった。
今回発表された新しいディスタゴンT*2.8/21 ZFは、いまだに人気の高い前モデルをさらに見直したものだが、撮影をしてみて具体的に実感されるのは、絞り開放付近での良好なコントラストの再現性、また同じく絞り開放でも周辺まで高い解像感がえられること、周辺減光がより改善されていることなど、ほぼすべての点で超広角レンズの頂点を意識させられているような感じさえ受けるレンズだ。これはフィルムカメラでも、高画素数のデジタル一眼レフでも同じことを感じさせる。細密な描写、なだらかで豊かな諧調を持つツアイス超広角レンズ、ディスタゴンT*2.8/21 ZFの醍醐味を二つの旅で味わってみた。

「灯台の旅」

「懐かしい町々を行く」

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