今回の撮影では、東京の新しいトポスーtopos・場所―をおいもとめて、写してい
る。例えば、東京駅赤レンガ駅舎内、東京スカイツリー、渋谷ヒカリエなど、巨大プ
ロジェクトだ。そのトポスに入っていくと、時代の今が見えてくる。その現在の深層
をリアルなレンズの描写力で写したくなる。
しかし、私の手持ちの広角レンズで、微妙な光で彩られた、トポスの現場を写したも
のを見ると、何かいま一つたりないものがあった。
そんな時、ディスタゴンT*15mm F2.8ZF.2に出会った。それは、眼をさますよう
な、対角線110度の画角をもつ、驚異的な超広角レンズだった。このレンズのエネ
ルギーのある遠近描写と鮮鋭で深みある色の層が、思いがけないパースペクティブと
めぐりあわせ、新しい見方というものを発見させてくれる。どんな光のシチュエー
ションの中でも、そのリアルな画質と色再現のカラーマッチングが、写真心をすくい
上げ、想像力にうったえかけてくるのだ。見る人の感覚を刺激するのだ。
そのディスタゴンT*15mm F2.8ZF.2、超広角レンズ、対角線110度の圧倒され
る画像と鮮明でヌケのよい画質が生ずる源は、非球面レンズ2枚、異常分散ガラス、
高屈折率ガラス、フローティング機構、12群15枚構成にほどこされたカールツァ
イスT*コーティング、レンズ切削面への先進的な反射防止処理などの採用にある。解
放絞りF2.8からピントが鮮鋭に立ち上がり、ボケも美しく、問題なくつかえる。F5.6で最短撮影距離0.25mから無限大まで、解像力、コントラストともに最高
値近くなり、F8以上でパンフォーカスした画面には独特なものがある。
このレンズの余裕のあるリゾルビングパワーをつかうと、写真独自の新しい空間の秩
序と視覚美を生みだすことができる。優れた描写力は、現代のトポスを探るための最
適な光と影と色の道具ではないだろうか。。
|
|