ディスタゴンT*18mm F3.5 ZFは対角線画角約100度の超広角レンズでありながら、標準レンズのように安心してつかえる描写性能をもっている。撮影したカラーやモノクロフィルムを見ると、色の鮮鋭度が高く、透明感があり、ピントのシャープなエッジと明暗の階調の中に、解像力とコントラストが絶妙にバランスされていることが分かる。レトロフォーカスとしては歪曲収差が極限までに抑えられ、補正が画面のすみずみまでいきわたり、自然で味のある画像だ。特に、景観を撮ると、二次元のパースペクティブが、三次元になったように立体感が浮きあがっている。フローティング機構の採用により絞り解放F3.5、最短撮影距離0.3mで、周辺部の画質低下は少なく、F5.6にしぼるとシャープな再現と背景のボケで、多様な表現が可能になり、F8で最高の画質になる。この超広角の視覚力で被写体の深さと幅をどう引き出すか、それを作画にどう生かすか、楽しみの多いレンズだ。