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 コシナのハイエンド交換レンズのマウント面にご注目ください。レンジファインダー用の製品を中心として、マイナスねじを復活させています。上の写真は、その製作過程を撮影したものです。プラスかマイナスか、ねじのアタマなんてどちらでもいい。あるいは、プラスねじの方が近代的なのだから優れた規格であるに違いない。そんな風にお考えの方が多いことは承知しております。とはいえ、ごく一部のお客様は、少なくとも1970年代までの名品と呼ばれるヨーロッパ産の交換レンズに使われていたのはプラスでなくマイナスねじだったという事実を記憶しておられ、現代の光学製品にはプラスねじだけが使われているのに物足りなさを感じていらっしゃることも理解しています。

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 そもそもプラスねじとは効率を重視する観点から流布してきた規格です。マイナスねじであればドライバーを手に持った瞬間、ビットの方向を考えてねじをドライバーに着装しなければなりません。プラスであればそれをほとんど考えずに着装できます。数本のねじならいざしらず、数百本ものねじを締め付ける作業をくり返す現場ではマイナスねじはロスが多すぎたのです。大量に、効率よく、手早く作る。その目的を果たすにはプラスねじが有効なのは確かです。それゆえ、大量生産品のイメージが拭いきれないことから、現在でもヨーロッパでは工芸品や高級腕時計にプラスねじを使うことは決してありません。

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 部品単価の面でもプラスねじは圧倒的に安価です。作業効率でも有利です。それでもなお集中力に欠けるとドライバービットをねじのアタマから滑らせてしまう危険のある、たった1本の溝しかないマイナスねじを採用しているのは何故か? それは、マイナスねじが象徴する、丁寧なものづくりの姿勢を目に見えるかたちで示したかったからです。レンズ交換するたびに、見え隠れするマイナスねじ。丁寧に、慎重に組み立てられた工芸品のような存在としてハイエンド光学製品に向き合っていただきたい。私たちが復活させたマイナスねじには、そんなメッセージが込められているのです。

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