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 上の写真は、ニュートンリングと呼ばれる現象を撮影したものです。ニュートンリングとは、ぴったり重ね合わせた2枚のレンズに光を当てることで観察できる同心円状のリングのこと。レンズの接触面に僅かな空気の層があると、そこで反射した光が干渉することによって発生します。万有引力の法則をはじめとする古典力学の創始者ニュートンが発見したことから、この名が付けられています。接触させた2つのレンズの面がまったく同じ曲面であれば、その間に空気は入らずニュートンリングは発生しません。曲面のズレが大きく空気層の厚さに差があるほど縞の数は増加します。この現象を利用して、発生したニュートンリングの本数からレンズの曲面精度を知ることができるのです。

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 そこで必要となってくるのが、レンズの面形状の基準となる『レンズ原器』です。原器は透明のガラス材で作られ、その曲面がレンズ面の原型を示しています。非常に高い精度を持った『レンズ原器』は、優れた光学製品を生み出すのに重要な役割を果たします。一般的なレンズ面は球面の一部であることから、その種類は球の半径=Rで示されます。たとえばR40なら、半径が40ミリメートルの球面を示し、数値が大きいほど緩やかで、小さいほどカーブの強い曲面となります。設計仕様にあわせ、さまざまな曲面の『レンズ原器』が準備されており、研磨されたレンズと照らし合わすことで厳密にチェックされていくのです。

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 レンズと逆の曲面を持つ研磨皿と光学ガラスを擦り合わせることで作り上げられたレンズ面の形状は、はたして設計仕様に合致しているか? レンズ研磨の工程では『レンズ原器』とレンズ面との間に発生したニュートンリングを目視し、その状態によってレンズ面の精度を把握しながら作業は進行します。研磨完了後の精度確認にも『レンズ原器』によるニュートンリングの本数チェックが行われています。ここで基準となる原器にレンズをのせるとき、その間に薄紙をあて、そっと引き抜くようにして原器とレンズを重ね合わせます。これは微細な埃などが原器とレンズの間に入るのを防ぐことはもちろんですが、いわば“レンズのご神体”とも言える原器に対する気づかいも含まれた、こだわりの作法なのです。

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