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 上の写真は、これから研磨されようとするレンズを複数並べて固定した様子です。レンズの研磨には1枚のレンズだけを研磨する“1個磨き”だけでなく、“多数個研磨”と呼ばれる、所定の曲率を持つ凹凸一組の研磨皿の片方に多数のレンズを貼り付けて研磨を行う方式があります。この研磨の方法は、小さなサイズでカーブのゆるやかな(曲率半径の大きい)レンズを加工するときに用いられます。“多数個研磨”を行うにあたり、必要不可欠な工程、それが多数個貼りです。まず、仕上げの目標とする曲率を持つ大きなサイズの定磐に小さな径のレンズを等間隔になるように水貼りしてから、その面が表になるように、対になった受け皿に移し替えるのです。

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 そこで使われるのが、熱可塑性をもつ特殊なピッチ材です。粘度のある液状になるまで熱せられたピッチ材を多数個のレンズが水貼りされた定磐の上に流し、受け皿と組み合わせます。こうすることで軟らかいピッチ材にレンズは沈み込み、常温に冷やされ固形化したピッチ材によって固定されます。あとはハンマーの一撃で2枚の皿を分離させれば、定磐の曲率を移し替えた状態で多数個のレンズが姿を現してくれるのです。これらの工程は、すべて熟練の手作業によるものです。慎重に、そして大胆に作業は進みます。

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 整然と並んだ、小さな径のレンズたち。実は“多数個貼り”によって研磨されたレンズは、何かのアクシデントによって良品ではないと判断されてもリカバーを目的とした再研磨はできません。なぜなら、定磐の上に多数個のレンズを寸分違わぬ位置と角度でふたたび配置することは不可能だからです。やり直しの許されない、手数のかかる長い工程を採用している理由は何か? それは、製造の現場にしてみればシビアな要求をされる加工方法であったとしても、製品の精度を保証したいからに他なりません。小さな径のレンズを研磨する場合には“1個磨き”では曲面に悪いクセが出てしまう傾向が強いのです。どれだけ手間がかかろうと、精度だけは譲れない。極上の光学デバイスをお客様に届けたい。そんな決意が“多数個研磨”には込められているのです。

 

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