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 研磨されたレンズの表面には、ごく微量の研磨材やガラスの微粉などが付着あるいは埋め込まれるようにして存在しています。これらの微粉は光学的な性能を低下させることから、十分な洗浄によって除去してからコーティングなど次の工程に送る必要があります。洗浄の作業はレンズを洗浄液に浸したり、それに加えて超音波の振動を与えることでレンズ表面をクリーンな状態にしていきます。上の写真は、洗浄実験をした2枚のレンズの様子です。右のレンズは、洗浄液に浸漬させて超音波による洗浄を実施することで傷ついたもの。ここで使用した洗浄液は純水すなわち水です。光学ガラスには実にさまざまな種類がありますが、それぞれに水、酸、アルカリ、洗剤成分などに対する耐性が異なります。特に水に弱い硝種では、水に浸して超音波を当てるだけでガラス表面が浸食され、研磨工程で形成された微細な潜傷と呼ばれる傷が拡大して表面に顕在化してしまうのです。

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 そこで洗浄の工程では、光学ガラスの素性にあわせたレンズ洗浄が行われています。浸漬液として使われる洗浄剤、乳化剤、水、アルコール類への耐性をすべて備えた硝種であれば自動機によって次々と洗浄液に浸けて超音波洗浄を行いますが、耐性の弱いデリケートな硝種では手作業による浸漬を行うとともに、硝種に応じて洗浄液の成分を変えた洗浄槽を用意するなどして洗浄条件を変更するのです。最終的にレンズ表面にコーティングを施すことで全ての硝種は化学的な耐性を得ることになりますが、その前段階では特別扱いを要する素材が何種類も採用されているのです。

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 特に水に弱い硝種は、洗浄槽への浸漬という方法ではなく1枚1枚“手ふき”によってレンズをクリーニングしていきます。冒頭の写真で左にあるレンズがクリアな状態なのは、水と超音波にアタックされることなく“手ふき”で仕上げられたからなのです。生産性という観点では、水に弱い硝種は問題児です。自動機で洗浄できる硝種だけを採用すれば手間も時間も省けます。ではなぜ私たちは“手ふき”をしなければならない程デリケートな硝種を採用するのでしょう? それは、最高の光学性能を発揮すべく設計されたレンズ構成において、それぞれのレンズに最も適した屈折率と分散値をもつ硝種が割り当てられているからです。手間をいとわず光学性能をすべてに優先させるこの決断こそ、ハイエンド光学デバイスを作り出す私たちコシナの誇りなのです。

 

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