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 上の写真は、コシナ小布施ファクトリーに数多く設置された電気炉の様子です。これらはアニール炉と呼ばれる装置群です。アニールとは、焼き鈍し(英:anneal)のこと。高温のプレス加工によって形づくられたレンズ原形は、そのまま研削/研磨の工程に進むことはありません。その前にアニール炉の中でふたたび加熱され、それからゆっくりと温度を下げられていくのです。光学ガラスはプレスの急速な冷却などにより、その内部で分子の配列が
乱れているとレンズとして充分な機能を果たせません。そこで、厳密な熱処理によって分子の配列を整えるアニール処理を経ることで、光学ガラスの性能を均質化していくのです。

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 光学ガラスの種類により異なる屈折率は、レンズ設計にとって基本の中の基本です。この数値が不安定であれば、光学製品の性能を根幹から脅かすことになってしまいます。プレス成形後のレンズ原形の屈折率にはバラツキがあります。見た目は立派なレンズになれそうでも、プレスされただけのレンズ原形には、まだまだ精神修養の必要があるのです。そこでアニール炉の中で、求められるレンズ特性へ極限まで近づく修行に入ります。光学ガラスの
屈折率は、アニールの工程によって微妙にコントロールすることが可能です。すなわち、光学ガラスの資質を生かすも殺すもアニール次第なのです。

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 では、どのようにして規定の屈折率に合わせていくか? 適切なアニールの方法は、光学ガラス素材の種類によって異なります。光学ガラスを熱していくと、ある温度で分子が運動しやすい状態になります。これを転移点と呼びますが、硝種により転移点はおよそ摂氏580度から700度と大きく異なります。厳密には硝種だけでなく、製造用のポットナンバーによっても特性が異なるのです。割断し、秤量し、バレル研磨し、高温でプレスした光学ガラスの種類およびロットごとに、きめ細やかに対応するアニール処理をしていくこと。この工程なしに、ハイエンド光学デバイスを生産することは不可能なのです。

 

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