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 レンズのコーティング工程は1枚1枚を個別に行うのではなく、同じ仕様の複数枚をまとめて一挙に作業していきます。上の写真は、真空蒸着によるコーティングを間近に控えスタンバイしているレンズの様子です。専用の治具に整然とマウントされたレンズ群の先にいる作業者がぼやけて見えるのは、撮影に使用したカメラやレンズの不具合によるものではありません。円筒形の専用キャリアーに設置されてコーティングの順番待ちをする間に空気中のホコリなどがレンズ表面に付着するのを防ぐべく、キャリアーの外周に高機能性軟質シートがぐるりと張り巡らされてあるのです。その透明なベールごしに撮影しているので、七瀬ファクトリーの様子が何となくぼんやりと垣間見えているのです。

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 コーティングの準備段階として、レンズはコーティングドームと呼ばれる治具にマウントされます。これは光学薄膜の形成において真空蒸着機の内部で用いられる特殊な治具で、ドーム状の形体をしています。コーティングドームはマウントされたレンズがどの位置にあっても均一な製膜を行うために必要不可欠なアイテムです。真空中で蒸発させて気体に変化したコーティング材の分子を均質に飛び回らせるべく、ドーム状に膨らんでいるのです。マウントされるレンズの直径やコーティング面の曲率により条件が変わることから、それぞれの仕様に応じたコーティングドームが数多く用意されています。

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 研磨を終えて規定の曲率となったレンズは、コーティンング直前に手作業で全品がクリーニングされ、透過光を用いた目視検査を行っています。この段階でごく僅かな曇りやヤケが発見された場合にはコーティングには進めません。こうして徹底した検品で合格となったレンズは冒頭のカットにある透明のベールに守られて真空蒸着されるのを待つのです。このような取り組みを知って、いささか神経質すぎるのではないかと感じる読者も出てくるのではないかと思います。それでも、私たちコシナが想定しているハイエンド交換レンズの品質を固持するには、このプロセスを省略することは考えられないのです。

 

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