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 虹色に反射する、抽象絵画のようなパターン。あるいは鉱物の顕微鏡画像を連想させるイメージ。上の写真は、レンズの反射防止コーティングに使用する真空蒸着装置の内壁に貼ったアルミ箔をクローズアップ撮影したものです。ある容器の中に存在する空気を除去して作り出された真空状態では、気体分子は衝突することなく飛び回れる距離が長くなります。この性質を利用して、コーティングが施されます。真空中で気化されたコーティング材は容器の内部を自由に動き回り、薄膜を形成するのです。この虹色のパターンは、ハイエンド光学レンズの表面と同様に、内壁もマルチコートされたことで出現しているのです。

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 光学ガラスの表面に薄膜を形成するには、真空の環境が必要です。そこで外気を遮断する特殊な容器(チャンバー)を使用します。ステンレス鋼の容器には排気のための真空ポンプやバルブ、配管が取り付けられています。また、コーティングのプロセスに必要な駆動機構や各種のセンサーも装備しています。真空ポンプで空気中のガスを排気しても、ごく僅かなガスが残留するので、容器の中の状態を知ることは特に重要です。その度合いを測る真空計に加え、ガスの種類と圧力を分類して計測する分圧計により、水や窒素、酸素の微細な残留度を厳密にモニターしています。これらのセンサーを複合的に活用することで、プロセスの再現性を究極的に高めることが可能になるのです。さらに装置ごとに異なる機差を測定した上で、それぞれに最適化したツールを採用しています。

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 コーティング材を蒸発させ、蒸発温度よりも低い温度の光学ガラス表面に凝着させ、固化して薄膜にするのに用いられているのが電子ビーム加熱装置です。真空度や温度、蒸着中に発射される電子ビームの直径、コーティング物質のコンディションおよび磁力により弧を描いて飛ぶ電子ビームの入射の具合などを管理し、プロセスの再現性を阻害する要因を徹底的に排除すること。そして一層一層のコーティングを光学的にサンプリングし、生成する膜厚をナノオーダーでコントロールすること。やり直しのきかない工程であるからこそ、こだわるべきポイントが数多くあるのです。

 

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