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 コシナ七瀬ファクトリーにおいて、圧倒的に女性の比率が高い職場にスミ塗りの現場があります。指先の繊細な感覚を頼りにペイントチップを操ることに加え、端面だけでなくレンズ面にも約0.2ミリ程度ごく僅かに塗料を載せるという工程には、技量とともに美的感覚が求められます。この領域に関しては、一般的に女性の方がセンスの高さを発揮してくれるようです。上の写真は、スミ塗りを済ませたレンズを恒温槽で熱処理し、反射防止用の光学塗料がガラスとしっかり馴染むように仕上げている様子です。レンズ製造の工程としては比較的低い温度での処理なので、レンズを設置するトレイは木製です。レンズを優しく、丁寧にあつかう手さばきは、まるで美容のエキスパートであるエステティシャンのようです。

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 私たちコシナは、お客様がハイエンド光学デバイスの製品パッケージを開き、初めて手にしていただいた瞬間に「美しい!」と感じていただけることをモノづくりの目標にしています。それだけでなく、ご愛用していただく時間の経過に耐え、いつまでも美しく感じ続けていただけるかというテーマにも注力しています。スミ塗りの光学塗料が長い時間の経過とともに部分的な剥離を起こしてしまう“コバ落ち”は、レンズの美観を著しく損ねます。その現象を防ぐべく、恒温槽の工程は未来に向けたアンチエイジングの処置として施されているのです。こうして端面の下地を整えられたレンズは、ふたたび洗浄されます。

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  クリーンな状態になったレンズは、鏡筒へと組み込まれます。この段階で1枚1枚のレンズは目視チェックを受け、すこしでも美観に問題があれば再洗浄されます。それは光学的性能に悪影響を及ぼすことのないレベルであったとしても許されないのです。こうして最終検査を通過したレンズの直径は、レンズ枠と完全に一致していると嵌め合わせることができません。枠よりもごく僅かにレンズの直径が小さくなければならないのです。とはいえ、その差があまりにも大きいのは論外です。組み付けやすく、ピッタリとレンズ枠に納めるにはスミ塗りの塗料の厚さが重要なファクターとなります。正確に美しくスミ塗りされた何枚ものレンズが、次々と所定のポジションに固定され、1本の光学デバイスが姿を表す。その過程には、随所にコシナの美学(エステティック)が注ぎ込まれているのです。

 

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