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 漆黒の空間に浮かび上がる幾何学的パターン。緑色の光線を受けながら立つ人間のシルエット。まるで世界初の全編CGアニメーション映画『トロン』のワンシーンのようですが、これはSFではなく現実の世界です。上の写真は、プロジェクター用レンズの性能が設計値と相違がないか、解像チャートを壁面に投射して検査している様子です。プロジェクター用レンズは映画の上映やプレゼンテーションなどに用いられることから、画面の周辺部まで画像の乱れや滲み、歪みのないことが要求されます。そこで解像投影検査により、すべてのレンズの光学性能を実使用と同様の状況で評価しているのです。投影画面の各ポイントにある縞模様の鮮明さを肉眼で確認することで、レンズの解像力を判断しています。

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 撮影用レンズでは、解像力の診断にMTFによる性能評価を実施しています。私たちの製造するハイエンド交換レンズの分解能は、一般的なフィルムや撮像素子の分解能より遥かに高い領域にあります。そこで、レンズ性能の複合的な評価基準であるMTFにより更に高次元の性能を確保しているのです。MTFとは、被写体のある部分が持つ光を、撮影される画像の対応する位置にどれだけ正確に集められるかを示す値です。具体的なイメージで説明するなら、純白のハイライトから純黒のシャドーまでの間に、どれだけ豊富な階調を表現できるかという能力を示します。コシナで製造するハイエンド交換レンズは、1本1本MTF検査装置により評価・調整され、その優れた性能を保証しています。

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 シャドーの中に見出せる、深い闇のグラデーション。ハイライトの白に感じる、微妙な光の変化。被写体の持つ豊かな階調を、できる限り忠実に画像へ記録することでリアルな質感や立体感まで表現したい。よりよい写真への本質的な取り組みを科学的な数値で補完する方法のひとつとしてMTF検査は導入され、設計基準に達していると判断されない限り出荷することは許されません。通函(かよいばこ)の中には1本1本のレンズに製造番号に応じた検査書が添付されています。そこには、すべてのお客様に粒ぞろいの最高品質をお届けしたいという思いが込められています。このような取り組みで検査のハードルを極限まで上げていくことで、ハイエンド光学製品のアイデンティティーが形づくられているのです。

 

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